家庭内人種差別について考えてみました。
うちには9歳と4歳の男の子がいるんですが、このふたりのルックスのことについて、たまにかみさんがいろいろ言うんですね。
「やっぱりカッコいいのは○○のほう」
とか
「モデルになれるのは○○ね」
とか。
正確には9歳児のほうがカッコよくて、4歳児のほうがイマイチ、という視点なわけです。ルックス的には9歳児がラテン系、4歳児が日本人の顔をしてます。
一般論で言うと「親がそんなこと言うなんてけしからん」「子供にルックスなんて関係ない」というツッコミが考えられますが、でも一方で世の中においてルックスは重要です。少なくともルックスがいいと得することが多いような。
ちなみに、かみさんも小さい頃、これと同じことをやられてるんですね。自分の姉と比べられて。その時かみさんは「ルックスが悪い」方に属してました。
大人たちがかみさんの前であからさまに姉を褒めるんです。
「お姉さんのほうが、かわいいわねえ」
とか言って。
かみさん曰く、相当傷ついたらしいです。そりゃそうでしょ。女の子は特にそういうコメントに敏感ですからね。
ただ、ここからがやはり混血社会アメリカというか、問題が複雑になります。
姉のほうは背が高く、褐色の肌で、少しだけウェーブのかかった髪をしてました。
一方のかみさんは、姉より少し背が低く、白い肌で、髪の毛はアフロでした。
かみさん家族が属するラティーノ社会では:
・褐色の肌より白い肌
・アフロよりストレート髪
という価値観が今でも存在してます。その基準で行くと:
・肌の色はかみさんの勝ち
・髪の毛は姉の勝ち
ということになります。
ただ、両者には決定的な違いがあって、髪の毛はアフロをストレートにすることはできても、肌の色は変えられないんですね(まあマイケル・ジャクソン的な可能性は否定しませんが)。
そうなると、俄然かみさんに有利な展開です。肌は姉より白いし、髪の毛はストレートパーマかければ、なんとか世の中ごまかせます。
姉にとって、その肌の黒さは相当なコンプレックスだったみたいです。だって、変えられないんですから。
これはかみさんに聞いたんですが、姉は、父親がかみさんのほうばかり可愛がるのは、肌が白いからだと真剣に考えてたようです。
すごいですよねえ。家庭内人種差別ですよ。ホーム・アパルトヘイト。
でも、一方のかみさんもルックスや髪に関して姉にコンプレックスを持ってたみたいです。特に髪の毛は小さいときからストレートパーマさせられて、無意識のうちに「アフロ=劣等種」という洗脳を受けてたと。アフロ全面否定ですよ。要するにラティーノ社会において、肌の色も髪の毛も黒人的なものは「下」なわけです。
こうやってかみさん家族の過去を振り返ると、ルックスというのは罪作りというか、ちょっとした違いに上下関係を作ることによって、人間の心に大変な傷跡を残してしまうんですよねえ。
ただ面白いのは、姉との比較で苦しんだかみさんが、己の子供たちにそれとほぼ同じことをしてしまうという業の深さ。歴史は繰り返すというか何というか。
これだから人間ってやめられないですよね。