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にゅーよーく・なっつ。

NYで日本食がブレイクしたキッカケとは?

<Twitterコラム>

◇最近、NYのラーメンやその他の日本食のブレイクについていろいろ書いたんだけど、それらのツイートを眺めててひとつわかったのが

「NYおける日本食の浸透スピードが、10数年前に急に上がった」

ということ。おそらく00年代前半。「何か象徴的なことあったかなあ」と思ったら、あったよ。


◇NY日本人コミュニティにおける00年代前半の象徴的な出来事は

「本格的な日本語フリーペーパーの登場」

だと思うんですね。今回の一連のツイートを書きながら気づいたんですけど、その日本語フリーペーパーの登場が、NYにおける日本食の浸透スピードUPに関係してるんじゃないかと。


◇「NYにおける日本食ブレイク」という場合はあくまでも「対アメリカ人客(非日本人客)におけるブレイク」なわけですね。なので

「それと日本語フリーペーパーの登場ってどう関係あるの?」

という話になるんですが、私、その当時のことを思い出したんですけど、これが関係あるのよ。


◇私は10数年前、自分がやってたミニコミを配るために毎週マンハッタン内の日本食レストランや日系食料品店を回ってたんですが、その際によく見る風景があったんですね。それは

「韓国系、中国系の人たちが日本語フリーペーパーをピックアップする風景」

でした。すごく頻繁に見たのよ。

 

◇韓国系や中国系の人たちが日本語フリーペーパーをピックアップする最大の理由は

「日本人が行きそうな日本食レストランを見つけるため」

だったと思うんですね。別に記事を読むとかじゃなくて。当時彼らがピックアップしてた日本語フリペにはNY内の日本食レストラン一覧が載ってたんです。


◇韓国系や中国系の人たちが日本語フリペをピックアップしてた件について、私はそのシーンを何度も見ましたし、彼らがそのフリペを開いて実際に日本食レストランを探してたのも目撃したことがあります。さらにその当時、日本食レストランの方々から、彼らがフリペを見て来る、という話も聞いたんですね。


◇10数年前に日本語フリペをピックアップしてたのは、韓国系や中国系だけじゃなくて、その他の人種もいたと思うんですが、結局彼らが欲しかったのは、無料で手に入る

「日本人が作ったNYの日本食レストラン一覧」

だったと思うんですね。彼らには当時、なかなか手に入りづらかったんです。


◇もし、こういうのがあったら欲しいと思いません?

「韓国人が作ったNYの韓国レストラン一覧」

「インド人が作った東京のインドレストラン一覧」

要するに「本国の人たちが食べてるような○○食を食べたい」と思う人って結構いますよね。NYの日本食にもそのニーズがあったはずです。


◇全体の流れはこうです。

NYに日本語プリーペーパー登場

日本食レストラン情報に飢えてた韓国系や中国系などの非日本人客がそのプリペをピックアップしてレストラン情報Get

日本食レストランの非日本人客数が増加

非日本人客がさらなる非日本人客を呼び、あとは雪だるま式に


◇00年代前半にNYで創刊された日本語フリーペーパーは基本的に「日本人」を対象としたものでした。でもそれが結果的に

「非日本人客の日本食レストラン選び」

をヘルプしたわけですね。それまで彼らには見えなかった日本食レストランがフリペによって見えるようになったと。つまり「可視化」。


◇この

「日本語フリーペーパーの登場→NYの日本食レストランの非日本人客数増加」

が面白いのは、別に非日本人客に特別なアプローチとかしたわけじゃなくて、偶然

「日本食レストラン情報の可視化」

が起きて、大きな流れになった、ということなんですね。情報を公開しただけで。


◇日本政府も今後日本食を世界に広めていくお考えのようですし、私も同じ思いなのですが、この

「NYの日本食レストラン情報の可視化」

みたいな感じで、意外と簡単なことがブレイクのキッカケになるケースもあると思うんですね。他の国や都市でもやってみたら面白いと思いますよ。

 

*2014年5月28日