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にゅーよーく・なっつ。

注目される命と無視される命

<Twitterコラム>

◇フィリップ・シーモア・ホフマンのヘロイン死がキッカケとなって、ヘロイン関連の大量摘発が行われてるみたいだけど、こういう話を聞くと頭の中にあるツッコミが思い浮かぶのよね。「なんでもっと早く摘発しないのよ?」という。何らかの象徴的な不幸が起きないと動き出さない部分ってあると思う。

◇今回のホフマン氏の事件とか見てると、人の命の価値にも高い安いがあるのかなあとか思うのよね。だってここ数年、ヘロイン死って急激に増えてるんでしょ。でも社会は注目してこなかった。たくさんの人たちが死んでんのに。でホフマン氏が亡くなって、「あら大変」ってことで社会も動き出すと。

◇この前、白人富裕層が住む町であったレクチャーに参加したのね。で、イベントの途中である女性が立ちくらみで倒れたの。誰かがどうしたのか聞いたら「朝メシ食ってない」だって。でも彼女が倒れた3分後にはパトカーと救急車と消防車が来たのね。治安の悪い地区だったらあり得ない話よ。

◇20年以上前、マンハッタンのスパニッシュハーレムに住んでたんだけど、その頃都市伝説みたいに言われてたのが96丁目ライン。96丁目が良い地区と悪い地区の境目で、たとえば96丁目の南側の歩道で起きた殺人事件はニュースになるけど、北側の歩道の場合は記事にならないって。同じ人の命なのに。

◇同じ人間の死であっても社会に注目される死もあれば、「その他大勢の死」として見向きもされない命もあるのね。どちらが良い悪いはないにしても、そこには歴然とした価値の違いがあるわけ。たとえばアメリカでは白人の命が一番価値が高い。アジア人の私の命はそれ以下ね。誕生日にそんなことを考えた。

 

*2014年2月5日