子供英語の「み・こ・し」論
<Twitterコラム>
先日お話しした「日本の子供たちは5~6歳になる前に英語学習をはじめるべき」話の本題に入りたいと思います。これからその理由である
『子供英語の「み・こ・し」論』
を順番にお話しします。
【はじめに】
まず最初に「み・こ・し」の説明を。ちなみに「み・こ・し」は
「み=耳」
「こ=心」
「し=舌」
という意味です。それらの3つを「日本語・英語対応」にするためには5~6歳になる前に始めたほうがいい、というのがこの論の肝になります。
【子供英語の「み・こ・し」論:み=耳】
皆さんもご存知とは思いますが、言語習得には良い「耳」が必要ですよね。たとえば日本人にとっては日本語の「音」を拾うのは簡単ですが、英語の「音」はそうはいかない。なぜなら英語の「音」に慣れてないし、「音」を拾うための「耳」ができてないからです。
皆さん、「耳」の能力ってどの年齢で出来上がるかご存知ですか。私がこれまでいろいろ調べた結果、だいたい6~9歳ぐらいなんですね。つまり、それ以降になると「耳」が固くなるんです。なので、できればそれまでに広い音帯をカバーできる耳にしておきたい。
私が「5~6歳になる前に英語学習を」と言う最大の理由は、「耳」の能力が出来上がる前に、なんとか英語の「音」を拾えるようにしておきたいからなんですね。9歳以降、固い「耳」で苦労するより、それが柔軟なうちに「日本語・英語対応」にしておくと。
「耳」についての補足ですが、これまでバイリンガル教育に関わってきて気づいたのが
「音楽をやってる子は第二言語もできる傾向にある」
ということです。つまり音楽やってる子はいつも「耳」を鍛えてるわけじゃないですか。やっぱり良い「耳」が必要。
【子供英語の「み・こ・し」論:こ=心】
日本人って英語しゃべるのビビリますよね。相手が自分の英語をわかってくれるか気になるし、うまく英語を話せるかも心配。要するにいろんな「気遣い」を発動させてしまうわけですね。言語を習得しようとする際、それらの「気遣い」はマイナスに働きがちです。
「気遣い」と共に厄介なのが「恥ずかしい」。これも言語習得にとってはマイナスです。できれば「気遣い」とか「恥ずかしい」が本格的に出てくる前に、英語を「普通」のものにしてしまうほうがいい。だったら小さい頃から始めたほうがいいですよね。
たとえば幼児に英語の歌を歌わせたり、英語の言葉遊びさせたりするじゃないですか。あれってスゴく大事だと思うんですね。日本語と同じように、英語を発話することを「普通」にしてしまう。つまり「慣れ」です。「こ=心」が固くなってしまう前に。
【子供英語の「み・こ・し」論:し=舌】
この「舌」に関しては、うちの子供たちの名前に関するエピソードがあるんですね。うちの子供たちは二人ともスゴく日本的な名前なんですが、いつもクラスメイトのアメリカ人の子供たちは何の問題もなく発音できるのに、その親たちが発音できないんですね。
「舌」に関しては「大人より子供のほうが柔軟に動かせる」と私は考えています。では何歳ぐらいまでに「舌」は出来上がるのでしょうか。ある説によると、9~10歳までに言語のインプットがないと、ネイティブの発音習得がむずかしくなるらしいです。
「耳」に比べると、おそらく「舌」のほうが出来上がりが遅いと思うんですね。ただ、「耳」と「舌」は同時進行で鍛えるべき、というのが私の意見なんです。前ツイートにも書きましたが、言語習得の基本は
「耳から入れて、口から出す」
その連携が大事。
うちの4歳児は今、スピーチセラピーに行ってるんですけど、理由は「舌」がうまく動かせないせいで、いくつかの音が発音できないんですね。それが原因で私は「舌」について相当勉強しました。「舌」の運動神経には個人差があること、発達は10歳まで、など。
突き詰めて考えると
「発音の上手い下手=舌がうまく動かせる動かせない」
なんですよね。大事なのは「舌」の運動神経。もしその能力が10歳までに固まってしまうのであれば、当然それまでには習得させたい言語に慣れさせておくべきですよね。
【子供英語の「み・こ・し」論:まとめ】
子供の英語学習のことをガタガタ書くと「親御さんたち頑張って!」と言ってるみたいに取られがちなんですが、私が言いたいのは
「無駄なことやめて、もっと効率良くやろうよ」
なんですね。「耳」や「舌」の成長のタイミングをうまく掴んでラクすると。
今の日本は小中高って英語を学ぶわけですよね。それだけ時間を費やすのなら、ちゃんと使えるようになったほうがいい。そのためには
「5~6歳より前がポイント」
というのが、私が言いたいことなんです。その時期に「耳」「舌」を作ってしまえばナイス。
「日本の子供たちはそこまでして英語を学ぶべきなのか」という声があるのはわかります。その点に関しての私のスタンスは
「学ぶべき」
です。日本人にとっての英語の必要性については、「英語=水泳」論という話をしたいんですが、それはまた別の機会に。
*2014年5月19日