海外で老いていく私たちの居場所
まずはこの記事からご覧いただきたい。
同記事はイギリスのニュースサイトに載ってた、NYクイーンズの話なのね。NYのローカル話がイギリスのサイトに載るのも面白いんだけど、それはまた別の話。
【McDonald's at war... with a gang of gossiping Korean pensioners: Burger chain calls police over seniors it claims spend their days hogging booths at NY branch chatting over shared $1 bag of fries】*写真:http://www.dailymail.co.ukから
記事の内容は、リタイヤしたコリアン老人たちが、NYクイーンズのマクドナルドを毎日占拠してるって話なの。1ドルのフレンチフライで店内に何時間もステイするせいで、他のお客さんたちが座れないから、店側が怒って警察に電話。警察が店に来て彼らを追い出すんだけど、その辺をひと回りしてまた店に。それの繰り返しらしい。
*写真:同じくhttp://www.dailymail.co.ukから
興味深いのは、同じ町にはコリアンのコミュニティセンターもあって、そこでは毎日コリアン老人たちに朝食と昼食を提供してると。でもそれらの食事を済ますと、彼らはいざマクドナルドへ。
━━━他人事じゃない
そりゃ私だって、この記事読んだ時は「コリアン老人、やってるなあ」と思いましたよ。でもすぐ気づいたね。他人事じゃないって。
別にコリアン老人たちの被害に遭うっていうわけじゃなくて、逆よ逆。私が老いた時、同じようにマクドに行ってしまうのではないかと。
さらに言えば、じゃあ日系老人軍団は毎日どこに行けばいいのかと。
コリアン老人と同じようにマクド行って、コリアンたちと席の奪い合いする? それともスタバとかにする? コーヒー高いし、席少ないけど。
━━━意外と日本に帰る日系老人たち
こっちに長いこと住んでる日本人って、年取ってもずーっとアメリカに住み続けるって思われがちなんだけど、リタイヤしてから日本に帰る日系シニアって結構多いのよ。
そりゃそうよねえ。リタイヤしたらフロリダのビーチより、やっぱ温泉でしょ。美味いものでも食ってさ。
通常は、年を取るにしたがって、己のルーツに回帰するからね。嗜好が右翼化するの。日本人であれば、食であれ何であれ、無意識のうちに日本的なものを強く求めるようになる。
「アメリカの生活で十分満足してるから、今更日本なんて」という意見もあるかもしれないけど、まあ、あと20年ほど待ってごらんなさい。私が言ってる意味がよくわかるようになるからさ。
私は20年以上前からNY日系人会のメンバーで、そこで日本人のじいちゃん・ばあちゃんたちとよく会ってたのね。その時に気づいたの。年取ってからの「己のルーツ回帰現象」に。
ただ、先の「リタイヤしたら日本帰国」話だけど、それができるのは、ある程度お金に余裕のある人だよね。こっちを引き払って日本に生活の場を移すとなると、それなりにお金いるでしょ。
あと問題は、うちみたいな国際結婚組ね。温泉のありがたみが分からないようなアメ人のパートナー連れて日本には帰れないよね。うちのかみさんを温泉に入れたりしたら、「アタシを茹で殺す気?」とか文句言われるし。
━━━年老いた私たちの居場所
前述のNY日系人会では毎月「敬老会」というイベントをやってるのね。ちなみにこんな感じ。
*写真:NY日系人会サイトhttp://www.jaany.orgから
日系2世、3世や新移民のじいちゃん、ばあちゃんたちが集まるの。毎回なかなか盛況で、ランチも振舞われるんだけど、その料理作り等は、同じ日本人の「壮年」組がボランティアでやってる。じいちゃん・ばあちゃんになる一歩手前の人たちね。
こういう風景を見てて思うのよ。
「私も将来はこういうところにいるのかなあ?」と。
あるいは、今回紹介したコリアン老人たちみたいに、日本人ママ友(その頃にはおそらくババ友)たちとマクドナルドに行ってお茶でもするのか。そして長居し過ぎて警察呼ばれて追い出されて、また店に戻ると。
これまであんまりリアリティがなかったんだけど、今回のコリアン老人記事のおかげで何となくイメージできるようになったのね。「こうなる可能性もあるなあ」みたいな感じで。
と同時に、ちょっと心配になってきた。年老いた私たちの居場所のことがさ。
20年後、私は毎日どこに座ってお茶してるんだろ。