雪掻きにおける日本人のグローバル立ち位置
最近よく考えるんですよねえ。
「日本人の長所って何なんだろ?」って。
私が言ってるのは、集団としての日本人じゃなくて、個々人ね。たとえば、いろんな人種や民族が混じってるグループにポンと日本人をひとり入れた時に発揮される力。他の人たちが持ってなくて、日本人が強く持ってる特性ってヤツ。
もちろん個人によって持ってる特性とか違うから、あんまり「日本人」ってまとめてしまうのも何なんだけど、でもやっぱり国民性による違いってあると思うんですね。
私の住んでる町ってそれほど日本人いないから、何らかのグループ(学校とかご近所とか)になる場合、日本人は私だけってことがよくあるんです。そんなとき、よく考えるのね。
「このグループで私の能力を最も発揮できるのはどの立ち位置なのか」
それを考える際、私のバックグラウンドが「日本人」であることが、強く関係してくるの。
以前、こんなことがあったんです。
━━━ボロボロの大掃除
うちの長男は小さい頃、親たちが運営する学校(日本人は私たちだけ)に通ってたんだけど、その学校では毎年度末、全親総出で3日間の大掃除をやるのね。学校の隅から隅まで掃除するの。というか、正確には「掃除することになってた」。
私が初めて参加したときの大掃除は、それはそれは大変だったの。誰も掃除しなくて。みんな、どこをどう掃除していいかわかんないもんだから、子供用のイスに座ってコーヒーとか飲んでるのよ。
「掃除しなくていいの?」
って他の親に聞いたら、毎年こうなんだって。ビックリしたわ。
ちなみに、その学校に子供を通わせてる親たちって、金融系とかメディアとか医者とか、そういう人たちばっかなの。頭は悪くないはず。なのに大掃除はこのざま。
皆さん日本人だからよくわかると思うけど、日本人にとってボロボロの大掃除を見る、あるいはそれに参加するのって拷問に近いわけね。
だから私は翌年から大掃除委員になり、全部ひっくり返したの。と言っても、やったのは掃除道具を事前にちゃんと用意するとか、各自の担当を決めておくとか、そういう簡単なことね(ちなみに私は、日本人の中では平均以下のドジ&ノロマです)。
結果、その年の大掃除は大成功だった。それ以来、同学校では私の手法を引き継いでるらしい。
私がやったこと自体はすごく簡単だし、他の親たちでもヤル気になればやれたと思う。
でもこのケースで、私は自分の日本人性をすごく感じたのね。
・チンタラした大掃除に対する怒り
・単なる掃除にも手を抜かない姿勢
・悪いものを良くしようとする改善魂
それってある意味、日本人の大事な財産よね。掃除に関しては小学校のときから学校で鍛えられてるわけだし、気合いの入り方が違う。また改善魂に関しても、知らない間に身に付いてたりするし。
その大掃除事件があってから、「いろんな人種や民族の中にポツンと放り込まれたとき、ひとりの日本人として何ができるか」をよく考えるようになったのね。
そんな私に、また別の機会が訪れたわけ。
雪掻き。
━━━グローバル雪掻きの行方
今回の舞台は、私が今住んでるコンドミニアム。ここには10数家族が住んでて、雪が降ったときは、みんなで駐車場を雪掻きするの。ちなみに問題の駐車場はこれ。
一応コンド全体で業者と契約してて、彼らが除雪車で来て駐車場の雪掻きしてくれるんだけど、そのために住人の車を一度全部動かさないといけないのね。
これまでもみんなで雪掻きしたことあるんだけど、なんかうまく行かないんです。とりあえず住人の顔ぶれは以下の通り。
白人:普通に雪掻きするが、ときどき他の住人を仕切りたがり、その仕切りがトンチンカンなことが多く、全体を混乱させる
フィリピン人:ドジが多い。雪掻きの大事なときに車が故障して動かなかったりする
インド人:寒さに弱い。雪掻きに出てきても作業量はミニマム
アフガニスタン人:家族総出で雪掻きする。女性がよく働く
ロシア人:寒さには強いが、協調性がまったくなく、我が道を行く。アフガニスタン人と仲が悪い
日本人(私):イマイチうまく行かない雪掻きにイライラしており、己の改善魂を発揮する機会を狙っている
ラティーノ(かみさん):お人好しのダンナが他の人を手伝ったりしないか、暖かい部屋からダンナのことを窓越しに監視している
(黒人が足りないが、うちのかみさんは4分の1黒人なのでそれでご勘弁。ちなみにこれらはステレオタイプではなく、実態ですので。)
この顔ぶれで、どうやったら私の「日本人の長所」を発揮でき、全体にとってもプラスとなり、なおかつ彼らから一定のリスペクトをGETできるのか。
とりあえず私は、住人たちを2つのグループに分けることにしたの。
1)不必要な仕切りをして全体を混乱させる白人たち
2)その指示に右往左往する他の住人たち(我が道を行くロシア人以外)
ビューティフルな雪掻き作業にするためには、白人たちを抑え、他の住人たちをうまく導く必要があるのね(ロシア人は放っとく)。
でも白人たちと正面からぶつかってもモメるだけでしょ。私たちは去年引っ越して来たばっかで、まだ新入りだと思われてるし。
このシチュエーションで発揮できる「日本人の長所」とは一体何なのか。
私はひとつの特性にフォーカスすることにした。
スピード。
━━━日本人の圧倒的スピード
日本人の生活動作のスピードはおそらく世界一。それについては以前、こんなツイートも書いてる。
日本は電車の乗り降りにしてもスーパーやコンビニにしても、あらゆる生活動作のスピードが速くて以前は「もっとゆっくりやればいいじゃん」とか思ってたけど今は違う。日本人の生活動作のスピードはおそらく世界一。これって武器になる。無意識のうちにみんな日々鍛錬してるからね。忍者な国民性だわ。
— Hiroyuki Takenaga (@nynuts) 2013, 8月 4
私の作戦は「作業スピードで他の住人たちを圧倒する」だった。
ーまず非白人たちを己のスピードで助け、彼らに車を動かすよう指示して、除雪車を入れる
↓ ↓ ↓ ↓
ーその勢いにビックリした白人たちが負けずと雪掻きおよび車移動して、そこに除雪車投入
作戦は大成功に終わった。日本人の作業スピードを加えることによって、全体が軽快に、そして流れるように動いたのね。
私がやったのは「日本人の長所」である作業スピードを使っただけ。誰ともモメなかったし。
ただひとり不満だったのは、私がまたいらん事してると思った、うちのかみさんだけだった。
というわけで、日本人の皆さんのために「日本人の長所」を行かせるグローバルジョブ見つけたから。
雪掻き。