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にゅーよーく・なっつ。

かみさんが乗る車に石を投げたアメ人小僧たちの悲劇

 <Nutsアーカイブ>

   昨日、うちの近くを車で走っていたときの話。

  前方の道端に白人の小僧たちが何人か座っている。

  ちょっとイヤな予感がしたが、減速せずに通り過ぎると、「カチン」と何かが車の窓ガラスに当たった。

  おそらく石だと思う。あの小僧たちが投げたのだ。

  運転してるのがアジア人だったから、ナメられたのかもしれない。

  しかし彼らは知らなかった。後部座席にうちのかみさんとマイサンが乗っていたことを。

  「引き返せ」

  かみさんが静かに言った。

  私はかみさんの指示通りUターンしながら思った。

  「かわいそうに・・・」

  石投げ事故現場に戻ってみると、小僧たちの姿はなかった。おそらくどこかに逃げたのだろう。

  にもかかわらず、かみさんは車を降り、辺りを見回し、「あそこだ」とばかりにある家に向ってズンズン歩き始めた。

  呼び鈴を押すかみさん。私は車の中からその様子をじっと見ている。そしてまた思う。

  「ホントにかわいそうに・・・」と。

  そのうち、ひとりの男性が出てきた。

  彼に向ってかみさんが何かを言っている。

  すると、男性は家の中に戻り、ぞろぞろと小僧たち6人を連れて出てきた。

  「あ~あ、見つかっちゃった」

  私は小僧たち(おそらく10歳前後)を見ながらそうつぶやいた。

  そして、かみさんの説教が始まった。

  ダンナの私が言うのもなんだが、うちのかみさんは説教の才能があると思う。

  「説教」というのは、ちょっとやわらかすぎる表現かもしれない。

  言葉による暴力。そういうことね。

  かみさんの説教が始まって30秒後、小僧たちはすでに凍りついていた。最初に出てきた男性(おそらくだれかの父親)も緊張した面持ちでかみさんの説教に聞き入っている。

  身振り手振りで説教をカマすかみさん。いまにも泣き出しそうな小僧たち。

  約5分後、かみさんの説教が終わった。

  凍りついた小僧たちは、静かに家の中に戻っていった。

  車に戻ったかみさんは、問題の家をにらみながら言った。

  「もう少しで泣いたのに。フフフフフ」

  こんな説教魔と、10年も結婚してる自分がコワい。

 

*『子育てNuts』2006年10月16日